フルートの教則本をすでに4冊書いていらっしゃるグラーフ氏ですが、この本については最初「自分についての本を出すつもりはない」ときっぱりとおっしゃいました。でも、齋藤氏の熱心な提案に興味を持ってくださって、メールで1週間に1個の「問いと答え」を交わすことになったのです。フルートについて、音楽について、ご自身についても、本当に真摯に、ていねいに答えて下さいました。1年間、52週。それが「52の質問」です。
毎週毎週、齋藤氏の日本語での質問をドイツ語に訳し、グラーフ氏からのドイツ語の返事をまた日本語に訳すというなかなか大変な作業でしたが、とても充実して楽しい時間でもありました。
80年近くもフルーティスト、そして指揮者として第一線で活躍なさってきたグラーフ氏の言葉はとても重みがあり、大変誠実で、それでいてユーモアも織り込まれています。
こんな素晴らしい方と約20年もご一緒させて頂けて、なんと幸せなことだろうと改めてつくづく思っています。
フルーティストや音楽家でなくとも、音楽のことや時代のこと、人生について…色々な視点から読むことのできる奥深い1冊です。そして、決して難しくない!
まさにグラーフ氏そのものを現わしているような本です。
田原さえ